高周波の測定器(2)
1. デジタル・ディップメータの作成:
ディップメーター用の発振回路は 通常の発振回路と異なり、インダクタンス(L)の結合によって吸収されるエネルギーの流出によって、大幅に電圧が降下する回路でなければならない。そのため、発振トランジスター(2SK241Y)の ドレインに1mHのインダクタを入れ(470μHではディップ量が少ない)、ソース電圧をVRによって少し持ち上げた(10kΩのうちかなり低いほう)。
コルピッツLC発振回路用の小型の2連エアバリコンは現在 入手が困難であり、ポリバリコンも耐久性や外形に問題がある。(ハートレー発振回路用の、4pプラグインボビンなども現在は存在しない。) そこで、可変容量ダイオード(バリキャップ)を、高周波用に 1SV229、低周波用に 1SV149を、SWで切り替えるようにして並列にして用いた。 VRは、工業計測用の物を使えば、耐久性はクリアできる。これで、RCAプラグに付けたタップ無しコイルの付け替えで、広い範囲でLC回路を構築することができる。
バリコンと異なり、静電容量が0にならないので、特に高周波側では細かくコイルのインダクタンスを振り分ける必要がある。各コイルを差し込むRCAジャックは、両端を絶縁するためアクリル板に取り付けた。
発振出力が微弱なため、周波数カウンタ回路への信号はかなり大きく増幅する必要がある。 約200MHzまで直読するので、初めから1/64分周のプリスケーラー(MB501、max1.1GHz)で分周し、これを駆動するため(やや過剰品質気味ではあるが、)Sバンド(2.4GHz)まで増幅可能な高周波モジュール(GN1021、ガリヒ素,、90mA)を用いた。そのため消費電流がトータルで100mAにもなり、電池では無理で、電源は9Vのアダプターを付けることになった。
”ひも無し”にするために、シリコン系のもっと低消費電流のモジュール(μPC2709T(1GHz、11.5dB、20mA)など)に変えたほうが良いかもしれない。
また、測定桁数はせいぜい3〜4桁までなので、PICマイコン(PIC18F14K50)の発振水晶には普及品(12.0000MHz)を用いた。校正は8桁ユニバーサル周波数カウンターと同時測定して、タイマー1の端数を増減して行なった。(4桁は確保)
ディップ量を表示するアナログ信号は、オペアンプ経由でPICのアナログ入力(AN8)へ送った。
この入力は、(ケースのフロント面に場所が無いので)LCDでバーグラフに表示する。(* 微妙な変化を見るためには、アナログメータのほうが見やすい。また、周波数カウンタ値と同時に表示するため
表示のちらつきの問題が残った。 ・・ 市販のアマチュア向けディップメータはアナログメータを付けている。)
LCDによるバーグラフ表示には、LCDへの外字登録機能を用いて行なった。 8文字なので、縦バーの数は24本で、アナログ入力1〜3Vで0−24に振れるようにした。
LCD(ACM0802C-NLW-BBH、8文字×2行、1文字は 5(横)×8(縦)ドット、*
16文字×2行のSC1602Bとは VDDとVSSのピンが逆なので注意)の CGRAM(キャラクターグラフィックRAM)には、ユーザーフォントを最大8文字(0x00
〜 0x07)まで、5×8ドットの任意の作成文字の登録が可能。(漢字、絵文字なども表示できる) RAMなので、毎回起動時に(mainのLCD初期化の後に)登録するようプログラムを作る。
・ 登録法は、RS、R/W、 DB7、・・・、DB0 の順に、SetCGRAMAddress:
0、0、 0b01(アドレスセット) 001(文字0x01として登録) 000(1ライン目)、 WriteData: 1、0、 0b00(データセット)0 10000(横5ドットの模様データ) などとして縦の8行分繰り返す。 アドレス指定には
関数lcd_c4( )、データ書込みには 関数lcd_putchr( ) を使用。
・ 表示は、lcd_putchr(0x01); などとして行なう。 ( プログラム参照 ↓)
・ 低周波側のコイルは、先端に巻き線を集めて(リッツ線、さらに低周波ならばフェライトコアに巻いて、)磁束を集中し、ディップ量を増やす。
・ 可変容量ダイオードに 1SV239を用い、発振回路全体をカートリッジ式にすれば、UHF帯のディップメータを作ることができる。
● バーグラフ&周波数カウンタの ソース(PIC18F14K50): ● lib_adc.h:
* 可変容量ダイオードと直列に入れる510pFマイカコンデンサーを、0.01μFセラコンにしても良い。(温度変動はそれほど影響が無い)
* 1SV323 (1V:28p、4V6.5p、max10V)は 1SV229よりも可変範囲が大きいが、周波数特性が100MHz台までで設計されている(Rs
が下がる。 cf. 1SV229は470MHz)ので、150MHz以上では損失が大きくなって使えない。
2. 2.4GHz VCO:
2.4GHz近辺を狙った VCOは、可変容量ダイオードの 1SV239一個では 基板回路の浮遊インダクタンス(*)のため
なかなか発振周波数が上がらない。(2GHz以下ならば容易に作ることができる)
そこで、1SV239 を2個直列にして容量を下げ、また ハイL、ローCでも発振するよう 高周波トランジスター BFP420(Xバンド用、fT = 25GHz、増幅13GHz、発振10GHzまで)のベースバイアス、Ic
を調節して、ストリップライン発振器を作成した。(それでも11V以上になると、振動モードが変わって周波数が下がってくる)
今回、コンデンサー・ラインへのパターンは、小さいチップ部品を使って密度を上げても場所がないので、やむを得ず
ストリップラインの角の所から1pFで取ったが、これがハイL、ローC時の副発振の原因と考えられ、
ストリップラインの、極力 先端の中心近くから取るようにしなければならないと思われる。 ( ・・・・ 実際、3.の12GHzプリスケーラーで測ってみると、周波数は順調に2.68GHzまで上昇していたので、ガリヒ素アンプのほうがカウントしきれていなかったようである。)
1SV239にかけられる最大電圧は15V。(1V: 4.2pF、 5V:
2.7pF、 9V: 1.8pF、 0.44Ωat.470MHz・1V)
次段のアンプも、Xバンド用の NE3210 S−1を用いた。(* 2SC3356(fT = 7GHz)でも2.4GHz(Sバンド)までは増幅可能)
(* 1SV239、1.6mm1pFチップコン の購入先: レオコム、 他のチップコン、チップ抵抗類、BFP420、NE3210
S1、2SC3356等: サトー電気、 MB506等: イーエレ)
* ラインのインダクタンス(長さ l(mm)、幅 w(mm)、厚み t(mm)): L0 = 0.0002・l[ ln(2l/(w+t) + 0.2235((w+t)/l) + 0.5]、 例えば、8×5mmで L0=18nH、3mm角で L0=8.5nH にもなる。
全体の消費電流は80mA、出力は推定 約1−2mW程度。 周波数の安定性は、前回の
2石ストリップライン発振器(1.4GHz)と同様に 短時間で 4桁程度だった。 測定は、3D2V同軸ケーブルが長いとだめで、短くつなげると完全に測定できる。
前回作成した測定用のプリスケーラーは、1/128に分周に変更(MB506の6pinをアース)して 周波数カウンターへは max20MHzになるようにした。(ただし、1mWの弱い入力に対しては、2.45GHzが限界である)
VR調整はクリチカルなので、ポテンショメーター等の多回転VRを用いれば
精密な可変発振源になると思われる。(* 長期的には 基板(ガラスエポキシ両面、1.2mmt、エッチング後に銀めっき)の
εr(比誘電率、=4.8)の温度変化等によって変動する。)
また、アナログ電界強度計(AD8307・ログアンプ式)は、感度良く発振を検出した。
・ 近辺の周波数帯は、 2.4GHz: アマチュア無線、 2.45GHz: 電子レンジ(水の吸収周波数、ただしマグネトロンなので周波数は不安定)、無線LAN(X−Beeなど)の通信バンド、RFID(個体識別・認証カード、埋め込みチップなど)に用いられている。 ・・・ もう少しパワーUPすると、マイクロチップを無効化する装置ができる?
3. 12GHzプリスケーラーの実験:
12GHzプリスケーラーICの HMC363 S8G が手に入るので(秋月電子)、これを使って 12GHz程度まで測定できるプリスケーラーの実験を行なった。
入力段に NE3210 S−1(高周波FET)でプリアンプを設けたが、ここの発振がひどいので、ゲート抵抗を1MΩから10kΩ、ソース(S、S’)を直接接地に変更して、(入力オープン時には9GHz程度で発振するが、)測定時にはおさまるようになった。
ガリヒ素プリスケーラー(発振無し)によって周波数の分かっている 2.4GHz
VCO(上記、 f vs.Vc) と、 ドップラーレーダー(NJE4178J、公称 10.525GHz、10mW)を用いて、4桁程度まで正確に測定していることを確認した。
HMC363 S8G で 1/8 分周(固定)、MB506で 1/64 分周としたので、出力は
1/512 分周となる。(10GHz入力で 19.5MHzのTTL出力。 周波数カウンターは
精度8桁(at.20MHz) ∴ 有効数字は6−7桁、at.10GHz台。)
4. 1.5GHzドップラーセンサの実験:
前節で作成した 1.4GHzストリップライン・テスト発振器(出力約1mW)を追加加工して、1m〜数mの物体移動を検出する
ドップラーセンサ(近接センサ的なもの(?))を実験した。(ストリップラインの寸法: L=13mm、W=9mm)
出力側にループアンテナ(ループのL = λ = 3×108 / 1.52×109 = 19.7cm(これに 波長短縮率を掛ける)、φ0.8ホルマル線)を立てて
電波を出すと同時に 反射波を受信し、ショットキー・ダイオード 1SS154(〜Sバンド)でMIX・検波し、34.で作成した低周波オペアンプで増幅する。(* 必ずしもフィルターは必要ないが、低周波の電圧増幅率が小さいと検出できないのでしっかりと作る必要がある。(×10000
+ コンパレータ) 検波用のダイオードは 1SS108などでも可能)
また、ストリップラインの端点にアンテナを立てる方法もあるが、発振が止まるので
Trの変更が必要。この場合は 出力をコンデンサーでアースする。
§ 状態の遷移現象:
ディップメータの使い方は、初めは コイルどおしを近づけて大きくディップする大まかな周波数を見つけ、次第に離して無限小のデイップ点の
LC共振周波数を特定するものです。 ディップするときのアナログ針(ここではバーグラフの目盛り)は、VC(ここではVR)を回してゆっくり下がり、限界まで行くと
LC結合が切れるため、ある所で急に回復するような動きです。
この 結合が切れるときの共振状態の変化は、
・ 結合している時: 相互インダクタンス M が存在し、両方の合成共振周波数で共振。 エネルギーはディップメータから測定物のほうに流れる(発振ループの損失の増大 = コイルの Qの低下)
・ 切れている時: ディップメータと測定物のLC共振回路は別々。 エネルギーの流れは止まる
であり、共振状態が瞬間的に遷移するのが分かります。
この 状態の遷移は、量子力学の 粒子の測定系における、「純粋状態」から 「混合状態」への変化に類似しています。( → (2) 分離不可能性 ) また、電磁波は”光量子”の一つだから、もし、マクロであっても コヒーレントな状態ならば、そのまま適応できます ・・・・ 超伝導コイルなど
しかも、この変化は、「超光速の遠隔作用」であることが、実験的に確かめられています。( → (2) 遅延選択実験 )
このことは、創世記にあるように、「光」が造られる前に、量子的な「場」が備えられていたことを示唆しています。
量子的な場のほうが 光エネルギーよりも優先順位が高いということです。 光の速さを定義できるための「空間距離」が現れたのは、第二日目であり、さらにその後のことです。
「初めに、神が 天と地を創造した。 地は形がなく、何もなかった。 やみが 大いなる水の上にあり、神の霊は 水の上を動いて((直訳) 舞いかけて)いた。」(創世記1:1−2)
「そのとき、神が 「光よ。あれ。」と仰せられた。 すると 光ができた。
神はその光を よしと見られた。そして神は この光と やみとを 区別された。」(創世記1:3−4)
御子イエス様の 十字架の贖いを信じることによって、罪によって神様から分離されている状態にあった人が、世から分離されて、「神」に
つなげられる過程、すなわち「救い」は、信じた瞬間に、あたかも 永遠の昔から「主に属する民」であったように扱われること = 「救われた状態」への遷移 を意味します。
「カイザルのものはカイザルに、そして 神のものは 神に返しなさい。」(マタイ22:21)
「さあ、わたしの父に祝福された人たち。 世の初めから、あなたがたのために備えられた御国を継ぎなさい。」(マタイ25:33)